阿部シェフのイタリア研修旅行ITALY REPORT

REPORT 2013.07.07

阿部シェフのイタリア研修旅行ITALY REPORT

はじめに

ディアボラのシェフを務める阿部正和です。
2013年6月に開催されました、ナポリの老舗パスタメーカーであるガロファロ社が主催する、料理コンクールのショートパスタ部門で優勝し、その副賞としてイタリアへ研修旅行に行ってきました。普段見ることができないような経験もさせて頂きました。

ガロファロ社訪問(カンパーニャ州)

まず、今回の料理コンクールの主催者「ガロファロ社」の工場を訪問しました。
ガロファロ社は、パスタ発祥の地として有名なカンパーニャ州のグラニャーノにあります。イタリアのパスタメーカーの中でも最も歴史のある企業ですが、意外にもイタリア市場でシェアを伸ばしたのは近年のことで、現在は「ディチェコ」とトップを争っています。
ガロファロ社のパスタの一番の特徴と言えばイタリア伝統のブロンズダイス(青銅製口金)です。そのためパスタの表面に細かい凹凸ができソースとの絡みが良くなります。工場では製造ラインを見学させて頂き、実際使われているブロンズダイスも見ることができました。パスタの種類によって形が異なるので、数多くのブロンズダイスが保管されていて驚きました。
そしてガロファロ社のパスタのもう1つの大きな特徴は、上質な小麦の風味を感じるパスタであるということです。工場内には研究室があり、そこで実際に使われる原料の栄養価や色素などを測定して数値化しており、基準値に達した原料のみが使用されます。この工程によって安定した品質のパスタ製造が可能になっているのだなと感じました。
さて、いよいよガロファロ社のパスタを使っているレストラン「PIZZERIA TAVOLA CALDA PASTICCERIA MUSTAFA」に移動してランチです。ここのお店ではソレントの海が近いこともあり魚介を使った料理が有名です。私はスカンピのリングイネと貝類のパッケリを注文しました。どちらも魚介の旨味を引き出したソースでブロンズダイスのパスタによく絡みます。ガロファロ社のパスタの上質な小麦の風味がより一層魚介の旨味を引き立てる印象を受けました。やはりイタリアは最高です。

モニーニ社訪問(ウンブリア州)

1920年創業のモニーニ社は、イタリアで先駆けてエクストラヴァージンオリーブオイルに特化し成功をおさめました。工場の見学後、モニーノ社が誇る数種類のエクストラヴァージンオイルに加え他社製品を加えたブラインドテイスティングを行わせていただきました。
ブラインドテイスティングはエクストラヴァージンオイルの大敵である光と空気を遮るため、蓋をした容器で行います。その蓋を開けた時に広がる香りもオリーブオイルの良し悪しを判断するための大切な要素で、青っぽさやフルーティな香りが広がるものは新鮮である証拠です。また、黄色味を帯びたものや緑色に近いものなどオリーブオイルの色合いも様々ですが、色は収穫するオリーブの実の種類の影響を受けるため、品質の良し悪しには関わりないようです。そして私が最も驚いたのは、1番の判断基準は舌の裏でスパイシーさ、辛みを感じるかどうかということです。私はオリーブの実の種類によってスパイシーさ、辛みが変わるものだと思っていたのですが、スパイシーさはオリーブの実のポリフェノールや天然の抗酸化剤を含む新鮮なオイル特有のもののようです。
普段何気なく使っているオリーブオイルの生産工程を実際に見学出来たこと、今まで知らなかったオリーブオイルの知識を学び、とても有意義な視察になりました。

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