和田ソムリエのイタリア研修レポートSicilia

REPORT 2014.09.01

和田ソムリエのイタリア研修レポートSicilia

はじめに

ディアボラ店ソムリエの和田です。
2014年8月24日〜29日までイタリア研修に行ってきました。訪問先はシチリア島のクスマーノ社です。

ピノ・ネロ種の収穫体験

シチリア島はイタリア半島西南の地中海に位置し、イタリア20州の中でも最大の面積を誇ります。降水量は年間1000ml、ブドウの大敵である湿気が少なくブドウ育成に最良のこの地でワイン造りをしているクスマーノ社を訪問させて頂きました。パレルモから車で1時間ほど、フィクッツァにある畑は標高600~700m。南東の急斜面で水はけのよい粘土土壌です。写真のブドウはピノ・ネロ(ピノ・ノワール)で、翌日から30万人を動員して5万トン収穫するとのこと。前日ではありましたがお手伝いをさせて頂き、1番頑張った人にはカンノーリ(シチリアの郷土菓子)をプレゼントすると言われてはりきりました。結局は全員分ありましたが(笑)。このお菓子は映画「ゴッド・ファーザー」の一場面にも出てきますし、羊のリコッタチーズで作るカンノーリは日本では中々食べる事ができないので感激!両手で食べるほどのサイズ感にも驚きました。
シチリア島の東には、富士山(3776m)に迫る、エトナ山(3326m)があり、シチリアワインに多様性を与えています。なんと、富士山と同じ2013年に世界遺産に登録されました(ご縁を感じます)。イタリア最大の活火山であり、世界で最も活動的な火山と言われています。このエトナ山の麓にも「Alta Mora ( 高い・黒い、の意味)」というクスマーノ社のワイナリーがあります。標高800〜1000m、黒い土壌(火山土壌)で形成されており、エトナ山・グラディオーラの地で石や岩を避けるようにブドウの樹が植えてある段々畑は、機械が入れないためすべて手作業。ユネスコ世界遺産に認定されており、外観は崩せないそうです。ギリシャ神話において怪物テュポンを封印された場所で、ノアの大洪水を起こしたという説も。おすすめのワインは、ノアの方舟にインスパイアされた「ノア」です。フローラルさとスパイシーさ、広がりのある魅惑的な香り、ボリュームのある果実の味わいとパワフルなアルコール。土着品種ネロ・ダーヴォラとボルドー品種メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨンの鮮やかな個性が文句なしのバランスを奏でています。現地でワインに携わっているディエゴやフィリッポ、マリアと一緒に食事も頂きました。ちなみに現地の方は濁点を付けた方がが言いやすいようで「クズマーノ」と発音していました。クスマーノ社の魅力をしっかり日本で伝えていきたいと思います。

カンノーリ

海産物に恵まれたシチリアの食文化

シチリア島と聞くと1日で回れる程度の島をイメージする方もいるかもしれませんが、実は四国より大きな島です。地中海の中心にあり、歴史的に幾多の民族に支配されてきたために異なる文化が混在しています。オリーブ、オレガノ、バジリコ、ワイン作り、多様な食材や加工技術が伝えられ、シチリアを代表する柑橘類、まぐろ漁(マグロのカラスミ)、サフラン、バッカラやストカフィッソ(干しタラ)、トマト・ナス・パン粉を使った料理、揚げ物料理などバラエティー富んだ食事の数々。何よりおもてなしの文化には驚きを隠せませんでした。テーブルいっぱいに広がるアンティパスト(前菜)の数々。食べても食べてもアンティパストが運ばれてくる様子は、盛岡のワンコそばみたいでした(笑)。カラマーリ(イカ)やメカジキマグロのマリネなど、イタリアで生の魚介を食べるのもこの地方の特徴で親しみを感じました。
 車で色々な街(カターニャ、パレルモ、タオルミーナ)を巡らせて頂きましたが、どの街もサッカースタジアムがありました。またレディーファーストが根付いており、男性ドライバーは車が横切る時に待っていてくれる一方、女性は大体通り過ぎるみたいです(笑)。パレルモから車で約20分の港・テラシーニからカステルマーレ・デル・ゴルフォ(城の近くに海がある湾という意味)までクルージングも体験。船から見るシチリア島の山々は乾燥し、岩場がゴツゴツしていて男性的でした。航路には様々な洞窟が存在し、魚が泳いでいるのも見えるほど澄んだコバルトブルーの海。最近は日本でもシチリア料理専門店が増え、カポナータ、イワシとういきょうのパスタ、魚介のクスクス、カジキマグロのインボルティーニなど、馴染みのある料理も数多く存在します。親切で陽気で少し忘れっぽい愛嬌もあるイタリア人の気質を思い出しながら、美味しいシチリア料理を提供していきたいと思います。

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